名作家具によくあるのが「リプロダクト」です。
「この椅子、有名なのにやけに安いなあ」と思ったらリプロダクトだった、なんてことはよくあることです。
世界で70万脚以上販売されているYチェアほどの名作ならば、市場に流通しているものはやはりリプロダクトが多いのでしょうか?
そもそもリプロダクトとは?
リプロダクトとは、意匠権の期限が切れた他社のデザインを復刻した商品のことです。
ジェネリックと表現されることもあります。
20世紀の名作家具は発売から時間が経過していて当然意匠権が切れているため、オリジナル以外のメーカーでも製造販売しているのです。
その場合、一から製品をデザインするわけではないので、開発費を大幅に抑えることができ、デザイナーに支払うロイヤリティー(デザインの使用料)も発生しません。
何より人件費の安い中国やベトナムの工場で生産し、素材の品質を落としたり、製造工程を簡略化したりすることもできるので、正規品に比べ大幅な低価格が実現できるというわけです。
もちろんその分、デザイナーの意向に沿って忠実に作り続けているオリジナルの品質に届くものがあるとは全く思えません。
リプロダクトについては、賛否両論ありますが、そもそも海外の多くの名作家具は日本で意匠登録していないため、
意匠権が切れているかどうかは関係ありません。
法的に問題ないからといって「他社の製品を丸パクリする」ということが、倫理的にどうなのか、という話です。
私としてはやはり製品としての品質を考えると、リプロダクトでなく正規品を購入してほしいと思います。
Yチェアのリプロダクトはある?
他の名作家具のリプロダクトは数多く売られていますが、Yチェアのリプロダクトはありません。
なぜなら、2011年にYチェアの立体商標が認められたからです。
商品名などでよく聞く商標登録の、立体形状版ですね。
他の名作家具も立体商標登録すればいいじゃないか、と思いがちですが、この立体商標登録、なかなか大変だったみたいで、訴訟問題となって「Yチェア立体商標事件」とまで呼ばれています。
立体商標登録がなされたので、Yチェアをリプロダクトとして表立って販売しているところはありません。
しかし、Yチェアの表記をせずYチェアを模した商品を売る、いわゆるコピー品は完全には無くなっていません。
Yチェアのリプロダクト=コピー品の見分け方
まず基本的に、販売ページにカール・ハンセン&サンの表記がないものは全てコピー品です。
リプロダクトではありません、商標を侵害している以上、ただのコピー品です。
例えば、Yチェアのコピー品には、笠木の形状や、Y字の背板形状を微妙に変えて、似た名前で別商品として販売されているものや、写真はYチェアそのままですが、商品名にYチェアや商標名、CH24の表記がないものなどがあります。
おそらく外国人が出品しているのでしょう、これらの商品は販売ページの説明文が、まるで自動翻訳で翻訳したようなめちゃくちゃな日本語になっていることが多いです。
あとは中古販売店などで、古いYチェアが売られていることもあります。
この場合も正規品はカール・ハンセン&サンのタグがついていますので、すぐに見分けることができます。
とにかく立体商標登録がなされた以上、Yチェアのリプロダクトはただのコピー品です。
違法なので購入しないよう注意してください。
オンラインでYチェアを購入するなら
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センプレは1996年創立のデザインショップで、一万点以上のアイテムを取り揃える、インテリア業界では知らない人がいない有名店でもあります。
センプレで取り扱っているアイテムはもちろん全て正規品です。
センプレではEUサイズ、日本サイズ両方のYチェアを取り扱っています。
国内工場から海外のメーカーまで出向いて、直接確認して取り扱う商品を決める、その実直な姿勢が高い評価を受けています。
深い経験に基づいた独自のセレクトはトレンドを外さず、様々な使いやすいインテリアアイテムが豊富に見つかるので、Yチェアに合わせるアイテムなどもいっしょに探されることをお勧めします。